この記事の要点
- 最低日予算は2,500円。ただし上限ではない。 日予算は7日間の平均で、2,500円の設定を変えなければ、1日は最大5,000円、予算週は最大17,500円まで振れる。
- この記事で比較した国内2社の平均CPCは79円と435円。 2社で5倍以上の差があるが、国内全体の範囲や業種別の相場ではない。公式の推奨初期上限入札は1クリック3〜5ドル。
- 決める順番は日額ではない。 確かめたいこと、必要な母数、検証の総額と判定日を先に決める。
読んでほしい人:既存の広告媒体を運用していて、ChatGPT広告の予算を社内に説明する必要がある担当者。
この記事で扱わないこと:入稿の操作手順と、計測の実装方法。それぞれ始め方と効果測定で扱います。
媒体に払う広告費:最低日予算は通貨ごとに決まっている
理由は2つあります。ひとつは、日予算が上限ではなく7日間の平均として扱われること。もうひとつは、実際にかかる費用が広告費だけではないことです。
この記事では、媒体に払う広告費と、それ以外にかかる費用を分けて整理します。先に決めるのは日額ではなく、「検証にいくらまで使うか」と「いつ判定するか」です。
最低日予算は市場と通貨によって異なります。公式ヘルプのキャンペーン作成ページの末尾に、通貨別の一覧表があります。
請求通貨 | 最低日予算 |
|---|---|
JPY(日本円) | 2,500円 |
USD | 25ドル |
EUR | 15ユーロ |
GBP | 15ポンド |
KRW | 25,000ウォン |
このほかの通貨も、公式の通貨別表で確認できます。出典:Create Campaigns for ChatGPT Ads
日本円の最低日予算は2,500円です。ただし、日予算と固定入札を使うキャンペーンでは、対象の広告グループの実効上限入札額(オーディエンスの入札調整を含む)も下回れません。この入札額による制約は、自動入札やキャンペーン総額予算には適用されません。実際に設定できる金額はAds Managerで確認します。
日予算は「上限」ではなく「7日間の平均」
見落としやすいのはここです。公式は次のように説明しています。
- 日予算は、7日間にわたって1日あたりに使いたい平均額
- 予算を固定した場合、1日の消化上限は日予算の2倍
- 予算を固定した場合、予算週の消化上限は日予算の7倍
- 予算週は、広告アカウントのタイムゾーンで日曜から土曜まで
つまり日予算2,500円で設定しても、1日で5,000円使われる日があり得ます。日次のレポートだけを見ていると「設定の倍使われている」と驚くことになりますが、予算を変えなければ、予算週の合計は17,500円を超えません。
もうひとつ、実務で効く挙動があります。週の前半に上限近くまで使う日が続くと、週の枠を先に使い切り、キャンペーンが「有効」と表示されたまま次の予算週まで配信が止まり得ます。公式ヘルプに明記されている動作です。
日中に日予算を変更した日は、その日に有効だった最も高い金額の2倍がその日の上限になります。週の途中で変更した場合、7日間の上限は変更時点から次の日曜0時までで日割り計算されます。
課金対象は表示かクリック。「成果1件いくら」ではない
キャンペーンの目的によって、課金の対象が変わります。
目的 | 課金対象 | 向く場面 |
|---|---|---|
Views(CPM) | 表示1,000回ごと | 認知・露出を広げたい |
Clicks(CPC) | 有効なクリックごと | サイトへの遷移を増やしたい |
Conversion optimization(クリック課金/oCPC) | 有効なクリックごと | 成果に寄せて配信したい・クリック課金がよい |
Conversion optimization(表示課金/oCPM・ベータ) | 表示1,000回ごと | 成果に寄せて配信したい・表示課金がよい |
出典:Conversion-optimized Campaigns
目的「Conversion optimization」は、購入や問い合わせなどの成果に向けて配信を最適化する設定です。表示課金は現在ベータで、利用対象が拡大中です。利用できる課金方式はAds Managerで確認してください。
公式FAQは、成果最適化を選んでも成果1件ごとの課金にはならず、選択したクリックまたは表示に課金されると説明しています。
購入や問い合わせに向けて配信を最適化するだけで、請求はクリックか表示に対して発生します。成果報酬型ではありません。この目的のBid Capは、成果1件あたりの入札上限として、予測される成果の発生確率とともにオークションの入札額を決めるために使われます。成果1件ごとの請求額や、実際の獲得単価を保証する値ではありません。
キャンペーンの目的・課金方式・最適化するコンバージョンイベントは、作成後に変更できません。 成果最適化のクリック課金から表示課金へ移る場合は、キャンペーンを複製して表示課金を選びます。それ以外の変更では、新しいキャンペーンを作成します。ここは予算計画に効くので、作る前に決めておきます。
上限入札の目安は3〜5ドル
公式は、CPCキャンペーンの初期の上限入札として1クリックあたり3〜5ドルから始めることを推奨しています。出典:Ads in ChatGPT: The Basics
これはドル建ての推奨値で、日本円のアカウントにそのまま当てはまる保証はありません。ただし、仮にこの水準で落札されるなら、日予算2,500円で買えるのは1日あたり数クリックという計算になります。これは後述する「検証予算」の考え方に直結します。
公開されているCPCの実測値(条件つき)
「実際いくらのクリック単価になるのか」は、公式には示されていません。参考になるのは、運用者が条件つきで公表した実測値です。
公表元 | 商材・目的 | 広告費 | クリック | 平均CPC | 補足 |
|---|---|---|---|---|---|
広告支援会社C/国内 | クリック目的の自社検証 | 10,000円 | 126 | 79円 | 設定は7/2〜7/31。実際は約7時間で消化。途中で入札を変更 |
広告支援会社D/国内 | 自社の配信検証 | 100,000円 | 230 | 435円 | CPC上限500円。短時間で消化。配信期間・CV数は非開示 |
クリニック向け支援F/国内 | LLMO支援LPの2訴求 | 2,500円/5,000円 | 29/51 | — | CTR1.34%・1.01%。双方CV0件で、原因は未確定 |
この記事で比較した国内2社の平均CPCは79円と435円で、5倍以上の開きがあります。 この2社だけで国内全体の最小値・最大値は分からず、業種別の相場ではありません。商材・入札・配信期間がそれぞれ違い、両社ともCV数は非開示です。
読み取れること:日本円でも数十円台のクリックが出る場合があり、同時に数百円になる場合もある。 読み取れないこと:自社の商材でいくらになるか。CV率、獲得単価、収益性。
自社の見積もりに使うなら、この幅の上側(435円)で置いてから、初週の実績で置き換えるのが安全です。迷ったときに低く見積もると、承認後に足が出ます。国内・海外の事例7件はこちら
広告費以外にかかる費用
広告費だけを見て予算を組むと、社内の承認時に不足が出ます。ChatGPT広告に限らずですが、この媒体では計測の準備が特に効いてきます。
費目 | 何にかかるか | 自社で持てるか |
|---|---|---|
広告費 | 媒体への支払い。上の課金方式 | 必須 |
運用支援費 | 設計、入稿、配信後の調整、レポート | 代理店に依頼する範囲による |
制作費 | 広告文、画像、遷移先ページの修正 | 既存の素材を流用できれば抑えられる |
計測の実装 | Pixel設置、コンバージョンイベントの設定、GA4との突き合わせ | 社内に実装できる人がいるかによる |
計測を後回しにすると、配信は動いても「クリックは来たが、その先が分からない」という状態になります。公開されている事例のなかには、コンバージョン計測を設定しないまま配信を終えたため、獲得ゼロとも獲得成功とも判断できないものがあります。この場合、使った広告費から得られるものがほぼありません。
計測の準備については、効果測定の記事で手順を分けて説明しています。
検証予算の組み方:日額ではなく、総額と判定日から決める
ここからは事実ではなく、考え方の提案です。
日額から入ると、上で書いた「日予算の2倍まで振れる」挙動で計画が崩れます。順番を変えます。
手順1:何を確かめたいかを1つ決める
- 自社の商材でクリックが取れるか
- クリックした人がLPで止まらず、フォームまで進むか
- 問い合わせの質が既存媒体と比べてどうか
この3つは必要な予算がまったく違います。 1つ目ならクリック数が集まれば足ります。3つ目は、問い合わせが一定件数たまるまで判断できません。
手順2:判断に必要な母数から逆算する
広告運用では、母数が足りないうちに優劣を決めると判断を誤ります。目安として、
- 直近7日のクリックが100件に届かないうちは、CTR・CVRの優劣を断定しない
- 直近7日のコンバージョンが10件に届かないうちは、獲得単価の優劣を断定しない
という線を引いておきます。
ここに上限入札3〜5ドルの推奨値を重ねると、最低日予算の2,500円だけで30日回しても、判定に必要なクリック数に届かない可能性があります。「小さく試す」ことは正しいのですが、「小さく試して判断する」は別の話です。
手順3:総額と判定日を先に決める
「検証に使う総額」と「いつ判断するか」を先に書いてから、日予算に割り戻します。順番が逆だと、毎週の消化を見ながら延長を繰り返すことになりがちです。
公開事例では、設定した期間と実際の配信時間がまったく違った例が複数あります。約1万円の予算が7時間ほどで消化された例、10万円が短時間で消化された例が報告されています。期間で区切ったつもりが、実際には数時間で終わっていることがあります。
そのため記録するのは「総額」「予定した期間」「実際に配信されていた時間」の3つです。
判定日ごとに何を見て続ける・直す・止めるを決めるかはテスト運用の記事で、社内の稟議に通す書き方は社内提案・稟議書の記事で扱っています。
費用に関するよくある質問
Q. 最低日予算の2,500円だけで始められますか。 設定できる金額は入札方法などにもよります。日予算と固定入札の場合は、対象広告グループの実効上限入札額も下回れません。また、最低予算を満たしても、成果を判断できる母数が得られるとは限りません。操作確認と成果検証では必要な予算が変わります。
Q. 日予算を下げられないことがあります。 日予算と固定入札を使うキャンペーンでは、日予算が広告グループの実効入札額を下回れません。先に入札上限を下げてから日予算を変更します。公式は「これはプラットフォーム共通の最低額ではない」と明記しています。
Q. 消化額が0円のままです。課金されていないということですか。 いいえ。公式ヘルプの目安では、表示・クリック・CTRは約15分ごとに更新され、消化額は約7〜8時間遅れて反映されます。消化額が0円でも、課金が発生していないとは限りません。平均CPC・CPMは消化額の確定に依存するため、さらに遅れる場合があります。コンバージョンは24〜48時間かかることがあります。いずれも目安で、処理の進行に伴い直近の数値は変わることがあります。
Q. 予算を使い切らずに配信が止まりました。 週の枠を前倒しで使い切っている可能性があります。予算週は日曜から土曜です。配信されないときの確認順はこちら
まとめ
- 日本円の最低日予算は2,500円。通貨別の一覧が公式にある
- 日予算は平均。予算を固定した場合は1日2倍、予算週7倍まで。予算週は日曜から土曜
- Conversion optimization目的でも成果報酬型ではない。課金はクリックか表示
- 目的・課金方式・コンバージョンイベントは作成後に変更できない
- CPCの推奨初期上限入札は3〜5ドル。最低日予算では1日数クリックの計算になる
- 決める順番は、確かめたいこと → 必要な母数 → 総額と判定日 → 日予算
自社の商材と予算で何を確かめられるか整理したい場合は、現在使っている媒体と遷移先ページをお手元に用意のうえ、20分の無料相談をご利用ください。
出典
- Create Campaigns for ChatGPT Ads(通貨別最低日予算、目的、予算タイプ)
- Daily Budgets(7日平均、2倍・7倍、予算週)
- Conversion-optimized Campaigns(課金方式、表示課金のベータ提供、Bid Cap、複製・変更の条件)
- Ads in ChatGPT: The Basics(推奨入札、オークション、反映時間)
- Measure Results(表示・クリック・消化額・コンバージョンの反映時間)
初版の公式本文確認は2026年9月19日です。2026年9月25日にMeasure ResultsとConversion-optimized Campaignsを再確認し、反映時間と課金・入札の説明を更新しました。同日にCreate Campaigns for ChatGPT Adsの通貨別表とDaily Budgetsも再確認し、固定入札時の最低額条件と予算変更時の扱いを明記しました。出稿前にAds Managerでも確認してください。
変更履歴
日付 | 内容 |
|---|---|
2026年9月25日 | 国内CPCを比較した2社の値に限定。公式ヘルプに基づきレポート反映時間、成果最適化の課金条件・Bid Cap・変更方法を更新 |
2026年9月19日 | 初版。公式ヘルプ4本(Create Campaigns/Daily Budgets/Conversion-optimized Campaigns/Basics)を本文確認 |
次回確認予定:2026年9月26日。 公式ヘルプは日単位で更新されるため、週1回の定点確認に合わせて見直します。