この記事の要点
- ChatGPT広告は、回答の下に「スポンサー」と表示される有料の枠です。LLMO・GEOは、回答の中で自社が言及・引用されることを目指す取り組みです。 OpenAIは、広告は回答に影響せず、広告主が回答を変えることはできないと明記しています。広告費で回答の中の露出を買うことはできません。
- 違いは、表示される場所、管理できる範囲、届く相手、測り方です。 広告は出す場面と予算を決めて、審査を通れば始められ、止めることもできます。ただし広告は、Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプランと18歳未満と判定されたアカウントには表示されません。回答内の言及はこれらの利用者にも届き得ます。
- 測るときは混ぜません。 広告のクリックは広告専用のUTMと参照値で識別し、AI経由の自然流入とは分けて集計・報告します。サイトのクローラーの許可設定は両方に関わるため、広告・サイト・LLMOの担当者が一緒に決めます。
読んでほしい人:ChatGPT広告とLLMO・GEOのどちらに取り組むべきか、社内で説明を求められている広告・マーケティング担当者。
この記事で扱わないこと:Google広告・Meta広告との比較はGoogle・Meta広告との違いの記事、計測の実装は効果測定の記事で扱います。LLMO・GEOの具体的な施策の方法も本記事では扱いません。
言葉の整理
言葉 | 意味(本記事での使い方) |
|---|---|
ChatGPT広告 | OpenAIが提供する有料の広告。ChatGPTの回答の下に、スポンサーと分かる形で表示される |
LLMO・GEO | 生成AIの回答の中で、自社の商品やサイトが言及・引用されるよう、情報発信やサイトを整える取り組みの総称。AIO・AEOとも呼ばれる |
AI経由の自然流入 | 回答内の言及やリンクをきっかけに、利用者がサイトを訪れること(広告のクリックを除く) |
公式の説明:広告は回答に影響しない
OpenAIの利用者向けヘルプは、広告はChatGPTの回答に影響せず、広告主は回答を形作ったり順位を付けたりできないと説明しています(広告の基本はChatGPT広告とはの記事で扱っています)。LLMO・GEOとの関係で押さえたいのは、次の2点です。
- 利用者が広告をChatGPTに共有して質問した場合も、その回答に広告主は影響を与えられない
- 広告は有料の掲載であり、表示されたことはOpenAIが広告主を推薦していることを意味しない
また、商品フィードに登録した商品は、ベータ期間中は広告にだけ使われ、ChatGPTの通常の回答には表示されないとヘルプセンターは説明しています。広告の出稿や商品の登録は、回答の中での露出とは別の話です。
違いを一覧で比べる
項目 | ChatGPT広告 | LLMO・GEO(回答の中での言及) |
|---|---|---|
表示される場所 | 回答の下の、スポンサーの枠 | 回答の本文、引用・参考のリンク |
表示の決まり方 | 会話の文脈、LP、広告文、ヒントなどから関連性で選ばれ、入札を含むオークションで決まる | AIが回答を作る過程で決まる。企業が直接指定する仕組みはない |
管理できること | 相談場面、広告文、LP、予算、地域、配信の開始と停止 | 自社の情報の発信とサイトの整備。回答そのものは管理できない |
始める・止める | 審査を通れば配信を始められ、止めることもできる(停止後も最大24時間ほど表示されることがある) | 効果が出るまで時間がかかるとされ、止める操作もない |
費用 | 広告費(表示またはクリックで課金) | 広告費はかからない。制作や改善の工数がかかる |
届く相手 | FreeとGoのプランの利用者(ログアウト中の利用者には全年齢向けの広告のみ。Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduと18歳未満と判定されたアカウントには表示されない) | プランに関係なく、回答を見る利用者 |
測り方 | 管理画面の表示・クリック・成果。サイト側ではUTMと参照値で識別 | サイト側の流入の記録。回答での言及の観測 |
「届く相手」の違いは見落とされがちです。広告はPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプランの利用者には表示されません(有料のGoには表示され得ます)。仕事でこれらのプランを使う担当者が顧客の中心であれば、回答の中での言及の方が接点になりやすい可能性があります(当社の見解)。詳しくは表示対象の記事で扱っています。
役割の分け方(当社の見解)
どちらが優れているかではなく、場面によって役割が違うと当社は考えています。
状況 | 考え方 |
|---|---|
検討の終盤(どこに頼むか、どれを買うか)で、自社が回答にあまり出てこない | 広告で、その相談場面に接点を作ることを検討する |
知識を調べる段階の質問で、既に回答の中で言及されている | 広告を足す価値は、言及の有無だけでは決められない。米国の広告会社Wは、回答で既に言及されているブランドの方が広告の成果も良いと報告している(出典を確認) |
顧客の多くがPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプランを使っている | 広告が届かない層があるため、回答の中での言及の比重が高くなる |
新商品、期間限定のキャンペーン | 始める時期と止める時期を決められる広告が向く |
すぐに成果を確かめたい | 広告は1〜2週間で配信とクリックの状況が分かる。回答の中での言及は変化を確かめるのに時間がかかる |
公開事例:知識の質問では言及され、業者選びでは弱かった
ドイツの太陽光・電力サービスXを担当した代理店は、同社が「仕組みや法律を知りたい」という質問の回答ではよく言及される一方、「誰に頼むか」という質問では複数の業者名が挙がり、同社の見え方が弱かったと説明しています(代理店の分析による)。この弱い場面を補えるかを確かめるために、広告のテストを始めたとしています。
回答内で言及されている場面と、広告が反応を得た場面が一致しなかった点が、この事例の読みどころです。法制度の場面では広告は表示されても反応がほとんどなく、代理店は、法律を読み込みたい人はページを移りたがらないと説明しています。当社の解釈では、回答の中で情報を読み進めたい場面では、広告はクリックされにくい可能性を示す一例です(場面ごとの広告の結果は広告文・画像・LPの記事でも紹介しています)。ただし、件数と費用は公表されておらず、1社の事例です(出典を確認)。
測り方を混ぜない
広告とAI経由の自然流入を同じ数字にまとめると、どちらの判断も誤ります。
項目 | ChatGPT広告 | AI経由の自然流入 |
|---|---|---|
サイト側での見分け方 | 広告専用のUTM(例:utm_medium=cpc)と、OpenAIがクリックごとにLPのURLへ付ける参照値(oppref) | ChatGPTからの流入のうち、広告専用のUTMが付いていないもの |
成果の数え方 | 管理画面の成果(Pixel・Conversions API)と、GA4でのUTM別の成果 | GA4での流入元別の成果 |
報告 | 広告費・クリック・成果・単価 | 流入数・成果(広告費はかからない) |
広告のUTMには、自然流入と混ざらない広告専用の値を使います。UTMの付け方は効果測定の記事で扱っています。報告書では、次の2点を守ります。
- AI経由の自然流入の数字を、広告の成果として書かない
- 広告の成果に、自然流入の成果を足さない
米国の広告会社Wは、複数のアカウントを集計した経験として、有料広告からの流入のCVR(成果に至る割合)はChatGPTからの自然流入のおよそ半分だったと書いています(出典を確認)。条件の詳細は公表されていませんが、両者を混ぜると数字の意味が変わることを示す例です。
両方に関わる設定:クローラーの許可
広告とLLMO・GEOの担当を分けていても、サイトのクローラーの設定は共通です。
- ChatGPT広告の審査には、OpenAIの OAI-AdsBot がLPを読めることが必須です
- OpenAIは、広告主に OAI-SearchBot の許可も推奨しています。公開されたWebの内容の理解に役立つ可能性があるためです
- 商品フィードを使う場合は、商品画像のURLにOAI-SearchBotがアクセスできる必要があります
コンテンツ保護などの理由で、robots.txtやWAFでAIのクローラーを一律に止めている会社では、広告の審査が通らない原因になります。広告の担当、サイトの担当、LLMO・GEOの担当で方針をそろえてください。審査の詳細は審査の記事で扱っています。
この記事で分からないこと
- LLMO・GEOの施策の効果。 本記事は施策の方法や効果を扱っていません。確立した方法があるとも考えていません
- 広告を出すことで、回答の中の言及が増えたり減ったりするか。 公式は広告が回答に影響しないとしています。それ以上の関係は公表されていません
- 自社のサイトにAIからどれだけ流入しているか。 分析ツールで自社の流入を確かめる必要があります
チェックリスト
- [ ] 社内の説明で、広告と回答の中の言及を別のものとして扱っている
- [ ] 顧客がPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプランを使っているかを考え、広告が届かない層を把握した
- [ ] 広告のURLにUTMを付け、自然流入と分けて集計できる
- [ ] 報告書で、広告の成果と自然流入の成果を別の行にしている
- [ ] robots.txt・WAFで、OAI-AdsBot(推奨はOAI-SearchBotも)を止めていない
- [ ] 広告・サイト・LLMO・GEOの担当で、クローラーの方針をそろえた
よくある質問
Q. ChatGPT広告を出すと、回答の中で紹介されやすくなりますか。 公式は、広告は回答に影響せず、広告主は回答を変えられないと説明しています。広告の出稿は、回答の中での露出を増やす手段にはなりません。
Q. LLMO・GEOに取り組めば、広告は不要ですか。 役割が違います。回答の中の言及は企業が直接管理できず、変化にも時間がかかります。広告は相談場面・時期・予算を決めて出せます。どちらか一方ではなく、場面ごとに役割を決めることを勧めます。
Q. 商品フィードに登録すると、ChatGPTの回答に商品が出ますか。 ヘルプセンターは、ベータ期間中は登録した商品が広告にだけ使われ、通常の回答には表示されないと説明しています。
Q. robots.txtでAIのクローラーを止めています。広告は出せますか。 ChatGPT広告の審査には、OAI-AdsBotがLPを読めることが必須です。止めたままでは審査が通りません。少なくとも広告のLPについて、OAI-AdsBotを許可する必要があります。
Q. 報告書では、どう分ければよいですか。 広告は「広告費・クリック・成果・単価」、自然流入は「流入数・成果」として別の行にします。自然流入の数字を広告の成果に含めないでください。
まとめ
- ChatGPT広告は回答の下の有料の枠。LLMO・GEOは回答の中での言及を目指す取り組み
- 公式に、広告は回答に影響しない。広告費で回答の中の露出は買えない
- 広告はPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduには表示されない(Free・Goは対象)。回答の中の言及はこれらの利用者にも届き得る
- 測るときは、UTMと参照値で広告を分け、自然流入と混ぜない
- クローラーの許可は両方に関わる。担当をまたいで方針をそろえる
広告と自然流入の役割分担や、報告の分け方を整理したい場合は、分析ツールの流入元の数字をお手元に用意のうえ20分の無料相談をご利用ください。
出典
- Ads in ChatGPT(回答への影響がないこと、ラベル、推薦ではないこと、表示対象)
- Ads in ChatGPT: The Basics(広告の選び方、オークション)
- Create Campaigns from Product Feeds(商品が通常の回答に表示されないこと)
- Advertiser Guidance for Allowing OpenAI Web Crawlers(OAI-AdsBot、OAI-SearchBot)
- Conversion Measurement(参照値oppref)
- 事例・見解:太陽光・電力サービスX、米国の広告会社W
いずれも2026年9月25日に本文を確認しています。
変更履歴
日付 | 内容 |
|---|---|
2026年9月25日 | 初版。公式ヘルプ5本と公開情報2件を本文確認 |
次回確認予定:2026年9月28日。 広告と回答の独立性、クローラーの記載を確認します。