CHATGPT ADS GUIDE 65 / SaaS・ITサービス

2026年11月最新版

SaaS・ITサービスのChatGPT広告|無料トライアル・デモ申込の成果の決め方と計測の設計

SaaS・ITサービスのChatGPT広告は、無料登録・トライアル開始・デモ予約・有料契約のどれを成果にするかで、最適化と評価が変わります。

本記事は、OpenAIの公式ヘルプ、広告ポリシー、開発者向けドキュメント、OpenAIが掲載した公式事例2件(いずれも2026年11月4日に取得)に基づいています。事例の企業名は伏せています。成果の段階の決め方、計測の設計、広告文の例は株式会社Ikigaiの見解で、例は説明のための架空のものです。

この記事の要点

  1. 最初に、どの段階を成果にするかを決めます。 無料登録・トライアル開始・デモ予約・問い合わせ・有料契約には、それぞれ標準イベントがあります。成果最適化で選べるのは1キャンペーンに1つです。製品から使い始めてもらう商材はトライアル開始や登録、営業が商談する商材はデモ予約や問い合わせから始めるのが現実的です(当社の提案)。
  2. 有料化や商談化をConversions APIで送るなら、登録のときに広告の参照値(oppref)を保存しておきます。 送れるのは行動から7日以内の時刻のイベントで、帰属期間はクリック経由で最長30日です。Ads Managerの売上・ROASの列は購入(order_created)だけから計算され、有料契約のイベントの金額は入りません。
  3. 広告文とヒントは、「どの作業・どの課題のためのツールか」を具体的に書きます。 公式事例2件は、用途ごとのキャンペーンや、すぐ試せる案内を使っています。リンク先は、ログインなしで開ける用途別のページにします。機能・価格・他社との比較の根拠のない表現は、ポリシーで認められていません。

読んでほしい人:SaaS・クラウドサービス・開発者向けツールなどIT系の商材で、ChatGPT広告を試す広告担当者。トライアルやデモの申込を増やしたいマーケティング担当者。
この記事で扱わないこと:B2Bの公開事例の読み比べはB2B事例の記事、Conversions APIの実装はConversions APIの記事、CRMとの連携はHubSpot連携の記事で扱います。

SaaS・ITサービスは出稿できるか

広告ポリシーは、初期のテスト期間の広告を、主に消費者向けの分野(生活・家庭用品、地域のサービス、旅行・体験、デジタル製品・教育など)に限るとしています。法人向けのSaaSを名指しした記載はありません。一方、OpenAIはフォーム作成SaaSや開発者向けAPI企業の事例を公式に掲載しており、規制の厳しい分野の国別表でも、金融のソフトウェア(Financial software)と、医療のソフトウェア・基盤(Health software and infrastructure)は、米国以外でも「可」とされています。ソフトウェアやクラウドサービスは「デジタル製品」として出稿を検討できる分野と当社は読んでいますが、審査の結果は保証されません。

ただし、IT系の商材でも次の点は確かめます。

確かめること

ポリシーの記載

機能・価格・成果・他社との比較

機能、価格、成果、提携、他の製品や会社との比較について、根拠のない主張は認められない

他社の名前やロゴ

自社が持つか、使う許可を得た商標・ロゴだけを使える。他社を装う・推薦を受けたように見せるのは不可

ChatGPTに似た見た目

ChatGPTやOpenAIの画面・機能・話し方をまねて、製品の一部と誤解させる広告は、削除や修正を求められることがある

生成AIのツール

性的な画像を生成・加工するツールや、成人向けのAIの話し相手のアプリは不可

金融・医療に近い機能

金融商品や取引を勧めない家計簿アプリや一般的な財務ソフトは原則として可。病気の予防・診断・治療に関わる主張は制限される

AIを使った製品は、広告の画像に会話の画面を使いたくなります。ChatGPTの回答に見える画像は避けるのが安全です(当社の見解)。審査の結果は、ポリシーの読み方だけでは決まりません。審査の流れは審査の記事で扱っています。国内の規制(景品表示法など)への適合は、OpenAIの審査とは別に確かめます。

もう1つ、法人向けの商材で知っておきたい点があります。広告が表示され得るのはFreeとGoのプランで、ChatGPT BusinessやEnterpriseなど法人向けのプランには広告が出ません。勤務先の法人プランでChatGPTを使う担当者には、その環境では広告が表示されないことになります(表示対象とプライバシーの記事)。

成果の段階を決める:登録・トライアル・デモ・有料契約

SaaSの成果は段階が多く、どれを成果にするかで、最適化も評価も変わります。開発者向けドキュメントの標準イベントに当てはめると、次のとおりです。

段階

標準イベント(開発者向けの用途の説明)

件数の傾向(当社の見方)

有料化までの距離(当社の見方)

当社の見方

無料のアカウント登録

registration_completed(アカウントやイベントの登録の完了)

多い

遠い

製品から使い始める商材の最初の成果に

無料トライアルの開始

trial_started(無料トライアルの開始)

やや多い

中くらい

有料化の率が分かっている商材に向く

資料請求・問い合わせ

lead_created(フォームの送信・連絡の依頼)

中くらい

中くらい

営業が追う商材の最初の成果に

デモ・商談の予約

appointment_scheduled(打ち合わせ・デモ・相談の予約)

少ない

近い

件数が見込めるなら、問い合わせより商談に近い

有料契約の開始

subscription_created(有料の定期契約の開始)

少ない

―

最適化より、評価と社内の報告に使う

当社は、成果最適化に使う成果と、評価に使う成果を分けることを勧めます。最適化には件数が見込める段階を1つ選び、その先の段階は自社のデータ(CRMや製品のデータベース)で追います。

  • 製品から使い始めてもらう商材(無料プランやトライアルから始まる):最適化はトライアル開始か登録。評価は有料化の率まで
  • 営業が商談する商材:最適化は問い合わせかデモ予約。評価は商談化と受注まで

成果最適化では、1つのキャンペーンに選べる標準イベントは1つで、作成後に変えられません。カスタムイベントは選べません。選び方は成果最適化キャンペーンの記事で扱っています。

図1:SaaSの成果の置き方を、売り方で分ける。OpenAIの開発者向けドキュメント(Supported Events・Conversions API)と公式ヘルプをもとに当社作成。
図1:SaaSの成果の置き方を、売り方で分ける。OpenAIの開発者向けドキュメント(Supported Events・Conversions API)と公式ヘルプをもとに当社作成。

有料化・商談化を計測する:Conversions APIの使い方

登録やトライアル開始は、完了ページのPixelで計測できます(Pixelの記事)。一方、有料契約の開始や商談化は、数日から数週間後に、製品のサーバーやCRMの中で起きます。これをChatGPT広告に届けるにはConversions API(サーバーから成果を送る仕組み)を使います。SaaSで特に効く制約は3つです。

制約(開発者向け・ヘルプの記載)

SaaSで起きること

当社の提案

送るイベントの時刻は直近7日以内で、未来は10分まで

有料化から1週間以上たってまとめて送ると、受け付けられない

有料化が確定したら、その日のうちに送る仕組みにする

Conversions APIはopprefを自動では取得しない。品質の評価は、行動から1時間以内に届いたかを見る

有料化のときには、広告のクリックの情報が手元にない

登録のときにopprefと照合用の情報(メールアドレスなど)を顧客の記録に保存し、有料化のイベントと一緒に送る

帰属期間はクリック経由が7・14・30日、ビュー経由が0日・1日

クリックから30日を超えて有料化すると、Ads Managerの成果に入らない

有料化の時期の分布を自社のデータで確かめ、30日を超える分はCRMで追う

もう1つ注意があります。APIの説明では、キャンペーンの成果のレポートは、キャンペーンに付けた成果イベントの設定で行われます。成果最適化のキャンペーンに付けられる設定は1つだけです(クリック・表示のキャンペーンは複数付けられる)。そのため、トライアル開始で最適化するキャンペーンでは、有料化のイベントを送っても、そのキャンペーンの成果としては数えられないことがあり得ます。Ads Managerの画面で同じかはヘルプに書かれていないため、有料化はCRMでも追えるようにしておきます(当社の提案)。

opprefは、広告のクリックでリンク先のURLの末尾に付く参照値です。Pixelはこれを自動で保存しますが、サーバーから送るときは自社で受け取って渡す必要があります。ヘルプは、opprefのないイベントも含め、送ってよい成果はすべて送るよう勧めています。照合用の情報は、正規化してハッシュ化したうえで、必要な同意を得て送ります(Conversions APIの記事)。

有料契約の金額は、売上・ROASの列に入らない

ヘルプによると、Ads Managerの「Order Created Sales」「Order Created ROAS」の列は、帰属した order_created(購入の完了)のイベントだけから計算されます。ほかの標準イベントやカスタムイベントは、この列に入りません。subscription_created に金額を付けて送っても、Ads Managerの売上・ROASの列には反映されないことになります。

SaaSの広告の採算は、月額の売上や契約期間の売上で見ることが多いと当社は考えます。当社は、ROASや顧客獲得単価を、Ads Managerではなく自社のCRMや分析の仕組みで計算することを勧めます。広告から来た顧客を見分けるには、UTMとopprefを顧客の記録に残します。1件の有料化を order_created と subscription_created の両方で送ると、同じ成果を2回数えることになるため避けます(当社の見解)。

ヒント・広告文・リンク先の考え方(当社の見解)

コンテキストヒントは「誰の、どの作業か」

コンテキストヒント(広告グループに書く補足の情報)について、ヘルプは「何を・誰に・いつ」の3つの観点を示しています。ヘルプにある会計ソフトの例は「店舗とネットの売上を照合する必要がある、成長中の小売事業者向けの記帳ソフト」です。製品名や機能の羅列ではなく、使う人と場面が分かる一文になっています。

国内のSaaSに当てはめると、次のような書き方が考えられます(いずれも架空の例)。

商材

ヒントの例

広告文の方向

リンク先

勤怠管理

シフト制の店舗が多い会社で、打刻と給与計算の連携に手間がかかっている人事担当者

シフト制に合う機能と、無料で試せる期間

シフト制向けの機能のページ

予約システム

電話での予約受付を減らしたい、小規模な美容室や学習塾の経営者

予約の受付を自動にする手順の短さ

業種別の導入ページ

開発者向けAPI

自社のアプリにチャット機能を追加する方法を調べている開発者

すぐ作り始められる案内

始め方のドキュメント

ヘルプは、ある顧客層に届けたいということだけでは関連性にならない、とも書いています。「大企業の情報システム部門」のように対象者の属性だけを書くより、その人が抱える作業や課題を書きます(コンテキストヒントの記事)。

広告文は用途ごとに、互いに違う切り口で

広告のヘルプは、何を提供し、誰向けで、いつ役立つかを説明する、価値の分かる文を勧めています。また、1つの商材に複数の、互いに違う切り口の広告を用意するよう書いています。SaaSなら、機能の数ではなく、用途ごとに広告を分けるのが分かりやすい方法です。

リンク先はログイン不要の、用途別のページ

ヘルプは、トップページではなく最も関係のあるページへリンクするよう勧めています。SaaSで注意したいのは、アプリのログイン画面や登録の画面を直接リンク先にすることです。審査のクローラーのヘルプは、サインイン・CAPTCHA・ブラウザの確認を経ずにLPへ届くことを求め、ログインやアプリが必要なリンク先は審査に足る内容を読めないことがあると書いています。用途別の説明のページに、登録やトライアルのボタンを置く形にします(クローラー許可の記事)。

公式事例に見るSaaSの設計(条件つき)

OpenAIが掲載したSaaS・開発者向けツールの事例は2件です。数字は各社の社内データで、日本の商材の目安にはしません。ここでは設計の学びを中心に読みます。

事例

公開日と条件

設計

成果の置き方

フォーム作成SaaS AC

2026年9月3日公開。比較の数字は同社の社内データ(2026年7月1〜31日)

一般・ブランド・用途別の3つのキャンペーンの群。目的は表示から始め、クリック、さらに成果最適化(登録)へ広げた。専用のLPと、ChatGPTの中で同社の機能を使う体験の両方を試した

登録。用途別キャンペーンのLPを改善して登録率が2.5倍(期間の記載なし)

開発者向けAPI企業Q

2026年9月1日公開。同社の社内データ(2026年6月5日〜8月5日、各テスト群の媒体費約1万ドル)

同じ「すぐ作り始める」企画を複数の媒体に出し、ChatGPT広告では開発者の具体的な問いに寄せた短い文にした。広告例は「無料で始める」

クリック→サイトのセッション→意味のある次の行動→パイプライン(商談の候補)の順で評価

2件に共通する読み取りとして、当社は次の2点を挙げます。どちらも各事例の原文で確かめた範囲です。

  • 用途や問いに合わせて、広告とリンク先を分けている。 ACは用途別のキャンペーンとLP、Qは開発者の問いに寄せた文と「始める」の案内です
  • クリックの先の段階で評価している。 ACは登録、Qはセッションから商談の候補までを見ています

事例の数字の読み比べはB2B事例の記事と効果の読み方の記事で扱っています。

この記事で分からないこと

  • 成果最適化に、どの段階のイベントを選ぶと成果が出やすいか。 公式資料は「目標を最もよく表し、十分な件数があるイベント」とだけ書いています
  • 有料化のように時間がたって起きる成果を、最適化がどこまで使えるか。 最適化に使われる帰属期間は書かれていません
  • subscription_created の金額が、レポートのどこかに表示されるか。 売上・ROASの列に入らないことだけが書かれています
  • 成果最適化のキャンペーンで、選んだイベント以外(有料化など)がAds Managerのレポートに出るか。 APIの説明では、レポートはキャンペーンに付けた設定で行われ、成果最適化のキャンペーンに付けられる設定は1つです
  • 広告からChatGPTの中のアプリ(プラグイン)へ直接誘導する方法。 ACの事例に体験の記載はありますが、ヘルプに手順はありません
  • 法人向けのSaaSで、FreeとGoの利用者のうち仕事の相談をしている人の割合。 公開されていません

SaaSの成果定義シート(テンプレート)

  • [ ] 商材の形を決めた(製品から使い始める/営業が商談する)
  • [ ] 最適化に使う成果を1つ決めた(例:trial_started)
  • [ ] 評価に使う成果を段階ごとに決めた(登録→トライアル→デモ→有料契約)
  • [ ] 各段階をどの仕組みで計測するか決めた(Pixel・Conversions API・CRM)
  • [ ] 登録のときに、opprefと照合用の情報を顧客の記録に保存する
  • [ ] 有料化・商談化のイベントを、行動から7日以内に、元の時刻で送る仕組みにした
  • [ ] クリックから有料化までの日数の分布を確かめ、30日を超える分の追い方を決めた
  • [ ] ROAS・顧客獲得単価は自社の仕組みで計算する(Ads Managerの売上の列は購入だけ)
  • [ ] 同じ成果を2つのイベントで二重に送っていない
  • [ ] 広告文・LPで、機能・価格・他社との比較に根拠のない表現を使っていない
  • [ ] リンク先が、ログインなしで開ける用途別のページになっている
  • [ ] 判定の日を、トライアルの期間や商談の期間に合わせて決めた

よくある質問

Q. 無料トライアルとデモ申込、どちらを成果にすべきですか。 商材の売り方で決めます。製品を触ってから買う商材で、トライアルから有料化の率が分かっているなら、件数の多いトライアル開始を成果にし、有料化は計測で追います。営業が説明して契約する商材なら、デモ予約が受注に近い成果です。デモ予約の件数が少なすぎて判断できないときは、問い合わせ(lead_created)から始めます(当社の提案)。どちらの場合も、最適化に使えるのは1キャンペーンに1つの標準イベントです。

Q. 有料契約の売上で、ChatGPT広告のROASを見られますか。 Ads ManagerのROASの列(Order Created ROAS)は、購入の完了(order_created)のイベントだけから計算されます。有料契約の開始(subscription_created)に金額を付けても、この列には入りません。当社は、CRMや分析の仕組みで、広告から来た顧客の売上を集計してROASを計算することを勧めます。月額の商材なら、どの期間の売上で計算するかも先に決めます。

Q. ChatGPTの中で動く自社のアプリ(プラグイン)に、広告から誘導できますか。 フォーム作成SaaS ACの事例には、ChatGPTの中で同社の機能を使って、フォームの作成・編集・分析ができる体験を試したと書かれています。ただし、広告のリンク先をChatGPTの中のアプリにする手順は、2026年11月4日時点の公式ヘルプに見当たりません。ヘルプは、できるだけ直接開けるWebのページをリンク先にするよう勧めています。

Q. API・SDKなど開発者向けのツールでも出せますか。 開発者向けAPI企業Qの公式事例があり、ポリシーにも開発者向けのツールを一律に禁じる記載はありません。事例は、開発者の問いが「アプリにチャットを追加するには」のような作業の依頼に近いと説明し、Qはその問いに寄せた短い広告文と「無料で始める」の案内を使っています。リンク先は、ログインなしで読める始め方のページにします。審査の結果は保証されません。

Q. 営業担当の代わりに、AIが質問に答える広告はありますか。 企業のAIの担当者と会話できるSponsored Agentsという形式がありますが、2026年11月4日時点では、選ばれた広告主だけが使える限定アルファのテストです。早期の利用の申し込みも受け付けていないとヘルプに書かれています。提供状況は表示形式と最新動向の記事で扱っています。

まとめ

  • SaaSの成果は、登録・トライアル・問い合わせ・デモ予約・有料契約に分け、標準イベントに当てはめる
  • 最適化には件数が見込める段階を1つ選び、その先は計測で追う(当社の提案)
  • 有料化をConversions APIで送るなら、登録のときにopprefと照合用の情報を保存する。送れるのは7日以内の時刻のイベント
  • Ads Managerの売上・ROASの列は購入だけから計算される。SaaSのROASは自社で計算する
  • ヒントは「誰の、どの作業か」、リンク先はログイン不要の用途別のページにする
  • 公式事例2件は、用途に合わせた広告・LPと、クリックの先の評価が共通点。数字は目安にしない

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出典

いずれも2026年11月4日に本文を確認しています。

変更履歴

日付

内容

2026年11月4日

初版。公式ヘルプ10本、広告ポリシー、開発者向けドキュメント3本、公式事例2件を本文確認

次回確認予定:2026年12月上旬。 標準イベントの一覧、売上・ROASの列の対象のイベント、ChatGPTの中のアプリへの誘導の扱い、Sponsored Agentsの提供状況を確認します。

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