この記事の要点
- 公式の広告ライブラリは、当社が確認した範囲では見当たりません。 第三者が観測した広告を集めたサービスはありますが、掲載されているのは各社が観測できた一部の広告(サンプル)で、OpenAIのデータではありません(各社もそう説明しています)。
- 事例は原典までたどり、5つの点を照合します。 公開日、対象期間、数値の条件、成果の定義、掲載された画面です。紹介記事や転載の数字をそのまま使いません。
- 競合の出稿は、複数の方法を組み合わせて調べ、件数を市場規模と読みません。 ライブラリに載っていないことは「出稿していない」証拠ではなく、海外で観測された広告が日本でも出ているとは限りません。
読んでほしい人:ChatGPT広告の事例や競合の出稿状況を調べて、社内資料や企画にまとめる広告担当者・マーケティング担当者。
この記事で扱わないこと:事例の紹介は事例7選、事例の数字の読み方は効果の読み方の記事で扱います。
調べる対象を3つに分ける
「ChatGPT広告を調べる」と言っても、目的によって見る場所が違います。
調べたいこと | 主な情報源 | 分かること |
|---|---|---|
仕様(何ができるか) | OpenAIのヘルプセンター、広告ポリシー、公式発表 | 機能、提供国、審査の基準 |
公開事例(どんな成果が出たか) | OpenAIの顧客事例、広告主・運用会社の発表 | 条件つきの成果の数字 |
競合の出稿(どんな広告が出ているか) | 第三者の広告ライブラリ、自分での観測 | 観測された広告の文面・形式 |
仕様の確認は公式が一次情報です。
公式に提供されているもの、されていないもの
情報 | 提供状況(2026年9月25日時点) |
|---|---|
ヘルプセンター | ChatGPT広告の記事の一覧があり、各記事に更新の表示がある |
広告ポリシー | 版番号と変更履歴(v1.0〜v1.6)が公開されている |
顧客事例 | 広告主向けサイトに顧客事例のページがあり、確認時点で6件 |
公式発表 | 提供国の拡大や新機能を公式ブログで発表 |
出稿中の広告を一覧できる公開の仕組み(広告ライブラリ) | 当社が確認した範囲(ヘルプセンター32本、広告ポリシー、広告主向けサイト)では見当たらない |
検索広告やSNS広告では、Metaの広告ライブラリやGoogleの広告の透明性センターのように、媒体社が出稿中の広告を公開する仕組みがあります。ChatGPT広告には、確認時点で同様の公式の仕組みは案内されていません。今後提供される可能性はあるため、定期的に確認してください。
第三者の広告ライブラリ
公式の仕組みがない代わりに、第三者がChatGPTの広告を観測・収集して公開しています。当社が確認した3つのサービスの、各社による説明です。
サービス | 収集の方法(各社の説明) | 見られる情報 | 各社が示している注意 |
|---|---|---|---|
LLM Pulse ChatGPT Ads Library | 対応する国・言語で、AIの回答を週次または日次で確認し、表示された広告を記録 | 広告の例。ログインすると広告主・国・日付で検索・絞り込み | 標本であり全数ではない。載っていない広告主が出稿していない証拠にはならない。OpenAIのデータではない |
ChatGPT Ad Library(第三者のサービスで、OpenAIの公式ではない) | 商用の質問を想定したプロンプトでChatGPTに質問し、表示された広告を記録 | 広告の文面、広告主、分野、広告が出た質問 | 件数は収集した標本の数で、OpenAIの広告の総数や非公開の実績ではない |
Sprites.ai ChatGPT Ads Library | 他者が公開した目撃情報(出典と日付つき)をもとに、公開された文面から広告の形を再現して掲載。自前の巡回ではないと説明 | 広告主、見出し、本文、形式、記録された場合は広告が出た質問 | 画像は元の画面ではなく再現。観測者には、なぜその質問で広告が表示されたかは分からないと説明 |
使うときの注意
- 件数を市場規模と読まない。 各サービスの件数は、それぞれの方法で集めた標本の数です。サービス同士の件数も比べられません
- 載っていないことは、出稿していない証拠ではない。 観測した質問・国・時期に表示されなかっただけの可能性があります
- 広告が出た質問は、観測者が入力したもの。 実際の利用者の会話ではありません。広告主が設定したヒントも分かりません
- 観測した国を確認する。 海外で観測された広告が、日本で同じように表示されているとは限りません
- 審査で否認された広告は記録されない。 「この業種の広告が出ている」ことは、自社が同じ表現で審査を通る根拠にはなりません
公開事例を原典までたどる
事例の数字は、紹介記事・まとめ記事・SNSの投稿で広まるうちに、条件が抜け落ちることがあります。原典までたどって、次の5点を照合します。
1. 原典を特定する
紹介記事のリンクをたどり、広告主本人・運用会社・OpenAIのいずれかが最初に公表したページを見つけます。原典が見つからない数字は、社内資料に使わないか、「原典未確認」と明記します。
2. 公開日と対象期間を分ける
- 記事の公開日と、広告を配信した対象期間は別です
- 「更新」の表示だけで、内容が変わったとは限りません
- 公式の提供開始より前の期間の実績を含む記事は、時系列が合っているかを確認します。OpenAIが米国でテストを始めたのは2026年2月9日、日本のパイロットは2026年6月に始まっています(日本の記事)
3. 数字と条件をセットで抜き出す
数値だけでなく、期間・比較相手・成果の定義・計測の方法を一緒に書き写します。どの条件をどう読むかは効果の読み方の記事で扱っています。
4. 掲載された画面と照合する
管理画面の画像が掲載されている場合は、本文の数字と画面の数字が合うかを確かめます。例えば、ドイツの広告支援会社Tの自社テストでは、本文の平均CTR2.94%と、掲載画面の合計(299クリック÷10,178表示、当社計算)が一致しました。一方、本文で報告している3件の成果は画面に載っていませんでした(出典を確認)。一致する部分と、確認できない部分を分けて記録します。
5. 重複と、説明用の数字を除く
- 同じテストを複数の記事が紹介している場合、事例は1件と数えます
- 同じ運用会社が別の記事で報告している場合、広告主が同じかどうかを確認します
- 説明のための仮の数字を、実績と取り違えないようにします。例えば米国の広告会社Wの記事にある「CPA500ドル・成約率50%」は、考え方を説明するための例として書かれたもので、実績ではありません(出典を確認)
事例の「証拠の強さ」を記録する
当社は、事例を集めるときに次の区分で記録しています。
区分 | 内容 | 使い方 |
|---|---|---|
公式掲載 | OpenAIの顧客事例。多くは広告主の社内データによる自己報告 | 条件つきで引用する |
事業者の自己報告(掲載画面を照合) | 広告主・運用会社の本文と、管理画面の画像がある | 画面と本文の一致を確認して引用する |
事業者の自己報告 | 広告主・運用会社の本文のみ | 条件と「自己報告」を明記して引用する |
紹介・転載 | 他の記事を紹介したもの | 原典をたどってから使う |
説明用の例 | 仮の数字 | 実績として使わない |
自分で観測するときの方法と限界
ChatGPTに自分で質問して、どんな広告が表示されるかを観測することもできます。ただし、次の限界があります。
- 広告は、今の会話の内容、おおまかな地域と言語、(有効な場合は)過去の会話などをもとに選ばれます。同じ質問でも、人や設定によって表示は変わります
- Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプラン、一時チャットでは広告が表示されません。観測には広告が表示されるプランと通常の会話を使います
- 広告の「About this ad」で、表示された理由を確認できます
- 数回の観測は、競合の出稿量や予算を推定する材料にはなりません
表示対象の詳細は表示対象とプライバシーの記事で扱っています。
競合調査の記録テンプレート
項目 | 記入欄 |
|---|---|
確認日 | |
情報源(ライブラリ名・URL/自分での観測) | |
観測された国・言語 | |
広告主 | |
見出し・本文 | |
形式(通常の広告/商品フィード広告) | |
広告が出た質問(観測者の入力) | |
遷移先ページ | |
気づいたこと(相談場面、訴求の角度) | |
限界(標本、国、時期) |
この記事で分からないこと
- 競合の広告費や成果。 広告の成果は、各広告主の管理画面でしか見られません
- ライブラリの収集範囲の正確さ。 各サービスの説明は自己申告で、当社は収集方法を検証していません
- 公式の広告ライブラリが今後提供されるか。 確認時点で公式の案内はありません
よくある質問
Q. ChatGPT広告に公式の広告ライブラリはありますか。 2026年9月25日時点で、当社が確認した範囲(ヘルプセンター32本、広告ポリシー、広告主向けサイト)では見当たりませんでした。第三者が観測した広告ライブラリはあります。
Q. 競合がいくら広告費を使っているか分かりますか。 分かりません。ChatGPT広告の成果は、各広告主の管理画面で集計値として見られるだけで、他社には公開されていません。ライブラリの掲載件数から広告費を推定することもできません。
Q. ライブラリの件数から、ChatGPT広告の市場規模は分かりますか。 分かりません。各サービスの件数は、それぞれの方法で集めた標本の数です。公式の規模として公表されているのは、OpenAIの発表にある「数万の広告主」「年換算の売上規模10億ドル」などの数字です(2026年8月31日の発表)。
Q. 日本の公開事例が少ないのはなぜですか。 公式の説明はありません。日本でのパイロットが2026年6月に始まり、公開までの期間が短いことも一因と当社は考えています。当社が確認した範囲では、国内で成果まで公表された事例はまだ少数です。海外の事例を使う場合は、国・商材・期間の違いを明記して扱います。
Q. 見つけた事例を社内資料に使うときの注意は。 原典のURL、確認日、数字の条件(期間・比較相手・成果の定義)を必ず一緒に記載します。掲載された画像を無断で転載せず、必要なら数字をもとに図を作り直します。
まとめ
- 公式の広告ライブラリは、確認した範囲では見当たらない。第三者のライブラリは「観測した標本」
- ライブラリの件数を市場規模と読まない。載っていないことは出稿していない証拠ではない
- 事例は原典までたどり、公開日・期間・条件・成果の定義・画面を照合する
- 重複と、説明用の仮の数字を除く
- 自分での観測は、人や設定で表示が変わる前提で使う
自社の業界で、どんな事例や競合の広告を参考にすればよいか整理したい場合は20分の無料相談をご利用ください。
出典
- ChatGPT Ads(ヘルプセンターのコレクション)(記事一覧)
- OpenAI Ads Policies(版と変更履歴)
- Customer Stories(OpenAIの広告主向けサイト)(顧客事例)
- Ads in ChatGPT(広告の選び方、表示されない条件、About this ad)
- Testing ads in ChatGPT(テスト開始日)
- A milestone in expanding access to AI(広告主数・売上規模)
- 第三者の広告ライブラリ:LLM Pulse、ChatGPT Ad Library、Sprites.ai
- 事例:広告支援会社T、米国の広告会社W
いずれも2026年9月25日に本文を確認しています。
変更履歴
日付 | 内容 |
|---|---|
2026年9月25日 | 初版。公式のヘルプセンター・ポリシー・広告主向けサイトと、第三者の広告ライブラリ3件の説明を確認 |
次回確認予定:2026年9月28日。 公式の広告ライブラリの提供有無と、第三者サービスの説明の変更を確認します。